超短編 『招待状』 最後のディナー編
俺はまわりを見渡した。

もうスィートルームの中にいるようだった。

すると、目の前のドアがあき、ドレスアップした女性が現れた。
今までに見たことがないくらい上品で、美しかった。

「お越しいただき、ありがとうございました」
その声には、鈴が響き渡るような透明感があった。

「さあ、こちらへ。今日はあなたのためのディナーですから。ウフフ」

案内されたのは、ダイニングルームのようだった。

豪華な家具や室内は、今まで見たことがないほど贅沢なものだ。

部屋の真ん中にあるテーブルには、ディナーの用意がされている。

「さあ、これをお飲みになって」
小さなグラスに赤く透き通った液体が入っていた。

「あの、これは・・」
「食前酒です。緊張がほぐれますわよ」

グラスを受け取るときに、彼女から芳しい匂いがした。

一息にそのグラスを空けた。
甘酸っぱい、それでいてさわやかな味だった。
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