いつか、また。
★プロローグ★
いつかまた、会えたらいいな。
それが、別れの言葉だった。
天国でね。
それが、返事だった。


もし、
あの人とあなたが出会う前に、私とあなたが巡り会っていたら、今…
もし、
あの人があんな最期を迎えなかったなら、今…
もし、
私とあなたに勇気と行動力があって、あの夜、手に手を取り合って逃げ出せていたのなら、今…

考えても仕方がないことだけど、満天の星空を見るたびにあなたのことを想ってしまう。

今の私は幸せで、恵まれてると思うけど、
満天の星空を見るたびに、
海へ行くたびに、
もうすぐ十四歳になる私たちの娘が恋バナをするときに。

強く強く、思ってしまう。

どこで私達は道を踏み外した??
どうしたら、私はあなたの横でいつまでも笑っていられた??


ねえ、あなたが言うように私は幸せになったよ。
あなたが言うから、おなかの中にいた娘を必死で守ったよ。

ねえ、あなたは昔からそうだったね。
人のために、自分を犠牲にしていたね。

あなたは……今、幸せになった?
私以外の人の横で笑ってる?


ね…翼


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