出会いは密室で[完]
それからあたしは
今日、
補講の後に起こったことを
『彼』の正体が
桐野遥人だということを避けて
すべて話してしまった。
するとなぜか
心が休まって、スッキリした。
「優科ちゃんは、その人の事が大好きなんだね」
「えっ!?」
あまりに唐突で
ストレートな言葉に驚くあたし。
大好き...って……。
「だ、大好きってほど……」
「キスしたいって思ったり、悲しかったりするのは...その人だからでしょ?」
「...うん」
「それくらい彼を想ってるんだよ。知らないうちに」
知らないうちに...。
そうだ。
知らないうちに好きになって、
知らないうちにキスをして、
知らないうちに悲しくなっていた。
自分勝手だなあたしも。