出会いは密室で[完]
知らないうちに
理由もつかない涙がこぼれ落ちる。
「...泣いてんの?」
「な、泣かないよっ。汗だってば」
「ぷッ...」
「笑ってないで、早く手離してよ」
その要求に彼は応えることなく、
あたしの背中の方で問いかける。
「あんた、好きな奴いるの?」
「へっ?!」
ストレートな問いかけに戸惑うあたし。
「もしかして......それって...俺?」
ザァ...。
その瞬間、
葉っぱを揺らす風の音が聞こえた。
「遥人...と、優科ちゃん...?」
そして、
それと同時に冴美ちゃんの声も聞こえた。