出会いは密室で[完]
冴美ちゃんっ...。
彼女の姿を見て、
すぐにあたしは
彼の手を振り払った。
「ごめんっ...もう帰らなきゃ......」
「待てよっ!」
「優科ちゃん待って!」
桐野くんと冴美ちゃんの声が
同時に響いた。
仕方なくあたしは
逃げ帰る足を止めて振り向いた。
「優科ちゃん。あたし、分かってたよ」
「へ…?」
「同じ...なんだよね?」
ドキンッ―――――――
あたしがいつも想っている人。
一緒に居ると
心臓が止まらない人。
大好きな人。
それは、
冴美ちゃんと『同じ』人。