出会いは密室で[完]
後ろで桐野くんがつぶやく。
「あぁ。優科は誰にも渡せない。」
いつから...
いつから南は
こんなに大人になったんだろう。
「...じゃーな」
「桐野くっ...」
静かに去っていく彼を
追おうとしたあたしを
南は
後ろから抱きしめて止めた。
「俺。マジだから。」
「……南...」
南は大切だけど。
ごめんね、
あたしが好きなのは
他の誰でもない、
今目の前に小さく見える
桐野くんなんだよ...。