出会いは密室で[完]
え…??
や、なななんで?
触れられた指先から
そおっと身体中を巡る熱い体温。
「案内して」
「……え?」
「家だよ...送るから。」
ため息をつきながら
「早く気付けよ...」なんて言っている彼。
?
相変わらず
意味深な彼の言葉に首をかしげた。
「どっち?」
「あ、えーっと...右」
手は握られたまま。
傘も持たずに
駐車場を出ると、
雨が肌に当たって
熱い体温を冷やしていく。
手をつないでいるのに
微妙な距離を保ちながら
あたしたちは家路を歩いた。