出会いは密室で[完]
有沙ちゃんは桐野くんのこと...。
「あんたが黒幕か...?」
「......。」
「なんで優科なんだよ...」
床に座ったままのあたしには
そばにいる桐野くんの表情がよく見えない。
でも
握りしめている拳は
痙攣するように震えていた。
「ただ邪魔だった。それだけ」
それを聞いて桐野くんは
有沙ちゃんの方に足を運んで
震えたままの拳を振りおろそうとした。
パシッ。
だけどその拳は
有沙ちゃんに当たることなく、
ジュンペイと呼ばれる人の
掌の中に、おさまった。