出会いは密室で[完]
だけど今は...。
なにも見えないのに
安心する。
怖いのに、安心できる。
段々目も慣れてきて
桐野くんの表情も鮮明に見えてくる。
「停電...だよね?」
「だろーな」
ずっと桐野くんは
あたしの手を離さない。
「で。俺の事好きなの?」
ドキンッ。
今度は強気だよ...。
「あ、え、、うーん...」
言葉が出来あがらない...。
「俺のこと、好き?」
「...すごい……好き」
跳ね上がる心臓。
体温を帯びる頬。
震える声。
そんなあたしごと全部
桐野くんは包んでくれた。