出会いは密室で[完]





いじわる。



そう思っても
やっぱり、もっとほしいと思ってしまう。



思いだしたくもないけど、

『あの人たち』とは比べ物にならない。



「あたしからも...いい?」

「えっ...?」


あたしの質問に
まぬけな声を出す桐野くん。


へーえ...そんな可愛い声も出せるんじゃん。




あたしにも少し
いじわるが移ったみたい。



ゆっくり顔を近づけて
いろんなことを思い出しながら



桐野くんの唇に
あたしの唇を合わせた。



暗くてほとんど見えないのに



唇の場所はいつも
間違わない。



まるで吸い付けられてるみたいに。





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