出会いは密室で[完]
歯をかみしめて
騒がしい後ろを振り返る。
そこには案の定、
あたしの『好きだった人』がいた。
「あ。」
彼はあたしを指さして
ポカンと口を開けた。
「あははぁ...久しぶり......」
「なんだっけ...」
「は?」
「あんたの名前」
なんだこいつ...。
一晩中一緒に居た女子の名前も
覚えてないのか。
怒りがこみ上げて、
拳を力いっぱい握るあたしを見た茉那は
『やばい』という顔をして、
あたしの怒りをひきとめた。
「ゆ、優科?落ち着いて...」
「だぁってさー…」
なんか、
ますます信じられなくなった...。
ほんとにこの人は
あたしが好きになった人なの?