出会いは密室で[完]
こんなくっついたら
心臓の音、聞こえちゃうのに...。
そんなこと
知られたら恥ずかしいのに
なのに、
この手は絶対振りほどきたくない。
「...話してみる?」
「へ…?」
「俺に。全部」
トクン...。
分かってるんだ、桐野くんは。
あたしが今まで
どれだけ重いものを抱えてきたのかが。
「いい...の?」
「うん...」
彼は
もっと腕に力を込めて、
「ちゃんと聞くから」
と、微笑んだ。