出会いは密室で[完]
我に返ったあたしは
頭を激しく振った。
欲望の怖さを今知った。
なんてこと
考えてんだろあたし...。
「バカだなぁ......」
そしてあたしは
もう一度彼を見据えた。
「…全部...桐野くんが悪い......」
さっきと同じように
彼に顔をそっと近づける。
鎖骨まで伸びた髪が
彼に当たらないように、そっと...。
トクン...。
ごめんね彼女さん。
少し下を向いている彼。
あたしは上から
すくいあげるかのように
こっそり
唇に唇を合わせた。