LOVE TASTE
「家どこだ?」






「ほぇ?」






「送る」





男はそう言って頬を伝うわたしの涙を指先ですくった




温かい指先







わたしだけを見つめる瞳






ちょっとした仕草なのにわたしの胸がざわざわと騒ぎ出す







「行くぞ」





「あのっ…大丈夫です…一人で帰れます」






「あいつらがまた戻ってきたら面倒だ」





「…」



さっきの出来事が蘇る



もしこの人が来てくれなかったらわたし…





「どうした?」





「なんでも…お願いします!!」






わたしと男は歩き始めた






夜は暗くて怖い道のり

だけど今はそんなことすら気にならない




わたしの意識はすべて
今隣を歩いてる男に奪われてる
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