LOVE TASTE


特に話すことなんてなかった


だけど全然気まずくなんてない


ただ…嬉しい…?





「あっこの家です!!」



「夜は駅前に近づくなよ」



「はい、ありがとうございました」




わたしは深々と頭を下げた


男は何も言わず歩き始めた





「あの!!」




わたしは何も考えず叫んでいた




男は静かに立ち止まり少しだけ振り向いた




「名前…教えてください!!」








「……蓮、あんたは?」






「雪です」






「ふーん、じゃあな」





男はそう言って歩き始めた





わたしはその背中が見えなくなるまでずっと蓮さんを見つめていた
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