LOVE TASTE
わたしは最低だ




あの時…


蓮さんの元へ行きたかったなんて



行っていればよかったなんて





少しでもそう思ってしまう






そんな自分が許せない






いっそうすべて忘れられたら…


蓮さんを忘れられたらなぁ…






「おいっ」





頭上から降ってきた
聞き覚えのある声




ぱっと素早く顔を上げる





「なんでまた泣いてんだよ…」




眉間にシワを寄せ…わたしを見つめる人












「蓮さん…?」





信じられない



どうして…



蓮さん…




「な…なんで…居るの?」


震える声で小さく呟く




「なんでって…お前が逃げるからだろ」





泣きながら…震えるながら…走り去った女



俺を避けるように走りだした女





放っておけなかった




呼び止められる声なんて無視して俺も無意識に走り出していた



目の前に居る女…雪…



どうして…なんでコイツは泣いてんだ?





大きな…潤んだ瞳、少し赤く染まった頬、震える唇






そのすべてが…可愛らしい
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