チョコ色の放課後
チョコ・・・
くれねぇの?
お前は俺にチョコくれないの?
薄暗い教室は、いつもよりもはしゃいだ雰囲気で、女子の声が響き渡る。
「お前ら、早く帰れ~!バレンタインだろ?しっかり楽しんでこい!」
俺は、日誌を手に持ち、残っている生徒達に言う。
「先生も、早く帰んないと、彼女待ってるよ!!」
クラスの女子がそんなことを言って、みんなが笑った。
一瞬目が合ったような気がしたのは気のせいか・・・
矢沢は、みんなが笑っている中で、また寂しい目をしていた。
真っ白なマフラーで口元が隠れていたせいで、より寂しそうに見えた。