チョコ色の放課後
「先生!!おはようございます!!これ、受け取ってください!」
駐車場で俺を待っていた女子生徒が俺に赤い紙袋を渡した。
校舎の影から彼女を見守っている友達がひそひそ話している声が聞こえた。
「ん?なんだ、これ?」
受け取るときに触れた手がとても冷たかった。
俺に会うためにずっとここで待っていたのか。
「バレンタインのチョコです!!」
そうか、バレンタインかぁ。
もうそんな季節か。
1年はとても早い。
その生徒は俺にチョコを渡すと、友達の元へ走っていく。
俺は、その生徒の名前も学年も何も知らなかった。