チョコ色の放課後


『じゃあ、ゆっくり味わってね!おやすみ…先生!!』


本当はもっと話していたかった。

直にしては珍しく、あっさりと電話を切った。

今日は朝まででも直の声を聞いていたい気分だったんだ。


俺は、切れた携帯電話をポケットに入れ、コーヒーカップを用意した。


沸騰したばかりのお湯を、コーヒーに注ぐと、部屋中にコーヒーのいい香りが広がる。


こんな瞬間にも、直が浮かぶ。

ここに、本当にあいつがいたら…ってね。



きっと…俺の声を聞いていると


辛くなるんだ。




今日は、やっぱり会いたいと思ってしまうだ、直も。




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