チョコ色の放課後
予想はしていたが、俺の靴箱にはいくつかのチョコが入っていた。
開けるとギシギシと音のなる古くて汚い靴箱の中から救出されたチョコ達は、どれもこれも自己主張をしていた。
俺は大事に大事にそのチョコを鞄に入れ、職員室へ急ぐ。
バレンタインって女性にとっては、特別な日なんだ。
きっと、
女の子が女の子らしくいられる日。
職員室の俺の席は一番廊下側の寒い席。
まだ、転任してきて2年目の俺は、居心地の悪い職員室よりも体育教官室が好きだった。
でも、
今日だけは、ここにいよう。
俺に会うために職員室に来るかわいい生徒の為に・・・
気持ちに応えることはできないが、
俺を好きだと言ってくれる生徒の顔はちゃんと覚えていなきゃいけないと思うんだ。
大事な大事な高校時代に、俺なんかに恋してくれた生徒を・・・
忘れないでいなきゃ。