好きになる理由。
-大地var-
「えー…。温かい、春の光が差し込む中ー…。」
校長が話しだす中、もちろん
全く聞く気になんかなれなかった。
「みんなの視線が痛い・・・」
俺とちひろは途中から入ってきたからだ。
斜め前から、ちひろの
鋭い視線を感じる。
俺は、水戸守 大地。
苗字の「みともり」から取って「みと」とか
呼ばれてる。
そんで、ちひろは俺の幼なじみ。
もう1人きほって幼なじみがいるんだけど…。
いねえ、まさかきほも遅れか?
いや。真面目なアイツに限ってそんなことは・・・。
そんなことを考えていた時だった。
「新入生代表挨拶・相沢きほ」
「はいっっ」
甲高い声とともに、ステージに上がるきほが見えた。
あれって、学年で1番頭がよかった奴が
やるやつだっけ。
あ、だからきほの姿が見えなかったのか。
きほのことだから学年1番もあり得ない話じゃない。
やるじゃん、アイツ。
思わず笑みがこぼれ出た。
ちひろ、驚いてたりして。
ふっと視線をむけると・・・。
口を開けたまま固まったちひろの姿があった。