泳ぐ鳥と飛ぶ魚
沈む
クラスメートの伊勢が死んだという訃報が入ったのは二日前のことだった。
伊勢はバスケ部に所属していて、すらりと背が高く、端正な顔立ちや社交的な性格から男子からも女子からも一目置かれる存在で、常に友人に囲まれていた。
俺は挨拶を交わす程度の仲で、彼についてはそれ以上詳しく知らない。
彼は学校のプールに、身体を置き忘れていたらしい。
生徒に余計な不安や心配を与えないための教師の配慮なのか、詳しい状況や死因は公開されなかった。
やはり俺は彼についてそれ以上知らないし、今後知ることもないのだろう。
彼はもういないのだ。