超短編 『夢』 3
またしばらく歩いて行くと、タクシーが通りかかり、止まった。

「あれま、ずいぶんやられたね。で、どこまで行くの。乗って行くかい」

「こんな格好でもいいですか。あ、でもお金もないし」

「いいよ。どうせ夢なんだから」


夢に登場する人物が、夢の中ってわかるのかな。

でも、今のおれでさえも、夢の中だって思っているしな。


ま、いいか。気にしない、気にしない。

どうせ、夢なんだから。



「じゃあ、東京まで」

「お客さん。悪いけど、行くとこ決まっているんだよ。それでもいいかい」

「いいよ。どこでも。」
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