正しい恋の始め方。
「彼方くんと市村さんって知り合いだったんだー」
「頭撫でてたけど、デキてんのかな」
「えーっ!そうだとショックー」


彼が姿を消した途端、教室中が一層騒がしくなった。
ああ、私は明日から生きていけるんだろうか。いじめられたりしないだろうか。


イケメンと知り合いになるとよく女のバトルが始まるもんね。(漫画知識)



一人で財布を片手に盛大なため息をまた吐く。人生って本当につまらない。


「結子……吐け」
「………はい?」
「何で彼方くんと知り合いなの!?頭撫でられてるの!?」


目を輝かせた珠樹が私に問い詰めてきた。
勿論本当の事は口が裂けても言えない。言う勇気がまだない。
だから私はとりあえず








「えーっと……き、近所の子」





下手くそな嘘を吐いた。

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