★短★思うは君の事ばかり
10月の終り

秋の風がカーテンを揺らしていて。

「まつり」

私は名前を呼ばれて顔をあげた。


教室の入口には
大地が立っていた。

「まだ帰ってなかったのかよ。」

大地は隣のクラスなんだけど。

「大地こそ、何してるの?」

大地は教室に入って来ると私の横に来た

「教室に忘れもん。誰か待ってんの?帰るなら、一緒に帰るか?」

私は顔を上げ大地を見た。

「博子待ってるの。それに、彼女は?」
私がそう言ったのと同時に
教室の入口に
あの娘が現れた。


「大ちゃん、まだ?」

“大ちゃん”か

「ああ、今行く。
じゃあな、あんまり晩くなるなよ。おばさん心配するから」

大地はそう言って
教室から出て行って

あの娘は大地の後ろで、私を不敵な笑みでみていた。
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