藍色の砂
1. 不純
『はじめまして』
キレイな茶色いロングヘアーに
あどけない笑顔。
キッチンにて。
冷蔵庫から出した牛乳を
パックごと飲もうとしたが
おとなしくコップに
移そうと思った。
『あ、ども。』
そう言えば、これがキミと交わした
最初の会話だったね。
すかさず隣に兄貴が来て
『昊(コウ)、こちら河島咲妃(カワシマサキ)さん。』と紹介した。
『で、咲妃。俺の弟の昊ね。』
とボクも紹介された。
『ども。』
『よろしくお願いします。』
ニッコリ笑いかけられただけで
人間はこんな簡単に
気持ちを奪われるものなのか。
それとも、
この唸るような暑さのせいなのか。
蝉の声がこだまする夏の午後。
ボクたちは出逢った。
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