藍色の砂
『昊…?』
参考書をぶら下げた村上が
後ろから声をかけてきた。
『あ、試合の時居た子だ。』と
兄貴の方から口を出す。
『こんばんは。お兄さんですよね?
同級生の村上莉緒(リオ)です。』
『こんばんは。付き合ってないの?』
ボクと村上を交互に見ながら
兄貴は言う。
『いや、全然です。』と先に
村上が答えた。
『お前こんな可愛い子ほってちゃ
ダメだろ~。』
『アハハ、ですよね~。お兄さん
からも何とか言ってください。』
『おい…。』
何なんだ?この空気は。
ハハハと笑う兄貴は
『今帰りか?』と言った。
『うん。送ってく途中。』
煙草を携帯灰皿に突っ込みながら
『そっか』と微笑む。