藍色の砂



コレって結局傷付けてるよな?
けどボクにはこう言うしか出来ない。



『昊の好きな人って誰?』



低い声にびっくりして顔を上げた。
え?村上だよな?
泣いてたよな?



その瞳にもう涙の跡はない。



『好きな人いるから渋ってんでしょ?』



なんとおめでたい思考回路なんだ…。
やっぱり女子は怖い。



ボクの好きな人…?
いるわけないだろ。
いないよそんなの…。



ボクの心を一瞬で奪って、
ボクの心を掻き乱して、
ボクがボクで居られなくなるほど
夢中になって、
恋い焦がれる相手なんて………



一瞬、脳裏に浮かんだ笑顔。
キレイなロングヘアー。
うっすらとピンクに潤う唇。
大きな瞳に長い睫毛。
細い声……。



なんで…?



こんなに鮮明に覚えてる。
キミのこと。
どうして今、浮かぶのか。










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