藍色の砂
トクンとボクの心臓は鳴り、
身体が固まった。
なんで……また……?
『ハイ、お嬢ちゃん。10個入り
マヨネーズ抜きね。』と
おばちゃんが袋に入ったたこ焼きを
その先客に横から渡す。
少し短くなった、明るめの
ブラウンヘアーを揺らし
『ありがとう』と受け取る。
決して見間違えることのない
キレイな横顔。
横髪を耳に引っかけて
子犬にバイバイする仕草。
振り返ってボクを見た
時の驚いた顔。
全てがボクの中で
フリーズする。
何でもない日常で
再び二人は落ち合ってしまう。
そらせない視線の中で
キミの声が聴こえる。
『コウくん…。』
忘れなきゃいけない感情は
一気に溢れ出して
いとも簡単に奪われてく。
名前を呼んだら
眉をハの字にして大きな瞳が
揺れ動く。