藍色の砂
戸惑う咲妃さんに一喝。
『食え。少し満たされるから。』
パクッと小さな口に入ったたこ焼きに
『美味しい』と言った。
ほら、涙も渇いてる。
『髪…伸びたね。』
『ん…。だったらまた切ってよ。』
『オッケーいつでも。あ、今度は
ちゃんとお店でね。』
食べ終わるまで沈黙が続き、
少しぬるくなった缶コーヒーの
プルタブをプシュッと開けた。
『ずっと気になってたの。』
カバンを挟んで座るボクたちの
距離は、それだけの月日が経った
証拠だった。
黙ってゴクリとコーヒーを喉に
流し込んだ。
『コウくんの気持ち、嬉しかった…。』
『……………。』
『でも応えちゃいけないって思った。』
『……………。』