藍色の砂
いつもの眼鏡をかけて
改札を通り、
本屋は…また今度にしよう。
角のタバコ屋を曲がり、
花屋も通過する。
オバチャン一人でやってる
小さなたこ焼き屋の屋台。
端に繋がれた首輪をした子犬。
『お帰り!今日早いじゃない?』
気さくに話しかけてくれるこの
オバチャンは小さい頃からボクを
知っている。
『今日部活早退した。』
そう言いながら子犬の頭を撫でる。
最近オバチャンが飼い出した
ミニチュアダックス。
ベージュの毛並みがフサフサで
可愛いんだ。
近所のアイドルだよ。
『今度いつ試合なの?』
たこ焼きをひっくり返しながら
オバチャンは言う。
『来ないくせに…。日曜だよ。』
『よし、あんたのチームが勝ったら
値下げしなきゃね。』
『ハハハ。絶対勝つし。』
たこ焼きがかかってなくてもね。
毎日こんなことを話して、
子犬とじゃれて帰って来る。