藍色の砂



人前で逢う時は、
互いに演技している。
あたかも周りから見れば
ボクたちは、
兄貴の弟と兄貴の恋人。



自然と話せるし、
兄貴も何の疑いの目もない。
完璧なまでに
仕立て上げられた異世界。



想定通り、親父も咲妃さんを
歓迎してる。
キミはとびきりの美人だから。
ボクの前では、
あんな風に喘ぐのに…。



こうして客観視すると
今すぐにでも壊したい衝動に
駆られる。
キミの感じる部分をいじって
めちゃくちゃにしたくなる。



ボクに微塵(みじん)も
想いのない素振りを見ると
はらわたをえぐられた
気になる。



そんな後、
二人きりになると
ボクは豹変してしまう。
いつもより熱を帯びて
ベットに押し倒す。



『妬いてる?』



挑発的にボクを見上げる瞳。
こんな時のキミはズルい。



『めちゃくちゃ妬いてるよ』



顎を持ち上げ深いキスを落とす。
激しく求めて、怒りを沈める。



ぐったりしたキミは
トロンとした目で見上げるから
更に求めてしまう。



掻き乱したい。
ボクの下で果ててくれ。
今のキミは、
ボクだけのキミだから───。












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