藍色の砂
ヘタに近付くとイタイめにあう。
メールも電話も出来ない。
そんなの我慢出来るはずがなくて…。
カランカランと鳴る店のドア。
『いらっしゃいませ』と品のいい
女性スタッフが出迎える。
店の奥を見渡すと、
母親に連れられてきた男の子の
髪をカットしている
キミを見つけた。
背を向けているから
ボクには気付いていない。
『カットとカラーで』と告げる。
会員カードを作成され、
何かと説明されるが
『河島さんでお願いします』と
言うとキョトンとされた。
新規客なのに、
いきなり指名したから?
『あ、お知り合いでしたか?』
『はい。もしかして予約いっぱい
入ってます?』
パソコン画面とにらめっこ
しながらスタッフは答えた。
『そうですね…このすぐ後から5時
まで予約入ってまして…』
その時走ってくる足音が聞こえて
『コウくん!?』とキミは
近付いてきた。
ニッコリ微笑んで
『予約してなかったからダメみたい』
とおどけてみせた。