藍色の砂
『え?次の人カラーだけだよね?
手待ち時間あるから交互になるけど
それでいいなら。』
『了解。』
『じゃあ指名料なしでご案内して
ください』とスタッフに告げて
先客の男の子の元へ戻って行った。
軽くブローして男の子のお母さんに
『どうですか?』って聞いてる。
満足したようで帰って行った。
外まで見送りして
男の子に手を振ってる。
そんな仕草一つ一つに
つい視線を向けてしまう。
小走りで戻って来て
ボクの肩に手をついて言うんだ。
『お待たせ!』って。
とびきりの笑顔を見せるから
男は勘違いするんだと思う。
自分もその中の一人なんだけど。
『人気あるスタイリストさんなんだね。』
『え?』
『いや、指名料あったから。』
確か4000円増しだったような…。
それでも指名して予約つまって
んだから人気あるんだろう。
実際上手いしね。