藍色の砂
『ふふふ。まぁね~。
じゃあ先にシャンプー行こっか。』
首もとにタオルを巻かれ、
シャンプー台へと移動して
『倒しまーす』と淡々と
接客される。
シャンプー台は店の一番奥で
死角になっている。
『失礼します』と言って
顔にガーゼのようなモノを
被せられた。
近くで漂うシャンプーの匂い。
シャンプー客は今のところ
ボク一人だ。
『逢いたかった…?』
周りに聞こえないように
小さな声がした。
『うん…。』
シャワーを出して温度を
調節しながら
キミは『ありがとう』と呟いた。
濡れていくボクの髪。
近くで吐息を感じるたびに
胸が締め付けられる。
『驚かないで聞いてほしい
んだけど…』
シャンプーしながら
ポツリと話し始めた声に
耳を傾けた。