藍色の砂
9. 螺旋
やっとの思いで連絡がきたのは
一週間後のことだった。
気を紛らわせるために
始めたレンタルショップでの
アルバイトの帰り道。
ジーンズのポケットの中で
震えた新着メール。
[逢える?]
忘れかけた頃に
与えられるアメとムチ。
いや、忘れてないんだけど。
こうしてボクは、
また溺れていくのか。
キミしか
見えなくなるのか。
待ち合わせた場所に
ふらりと現れて
キミの運転する車に乗って
『ドライブしよう』と
海沿いを走る。
カーステから流れるラジオ。
MCの合間に流れる音楽。
少しボリュームを上げて
キミはハンドルをきる。
夜の景色を窓から眺めて、
静かに時は流れた。
30分ほど走ったところで
車は停まり、
ラジオのボリュームを
下げた。