藍色の砂
『咲妃さんが言うならボクが言う。』
静かに首を振るキミ。
『コウくんのことは言わない。
約束したでしょ?口が裂けても
絶対に言わないって。』
『でも、状況がちが……っ』
キミの唇によって言葉を
遮られる。
深くて、濃くて、
時に荒々しくて…優しい。
まるで、マインドコントロール
にでもかけられて
答えを導かれるかのような口づけ。
暗い車内で、
キミの舌だけを感じていた。
『お願い…。信じてて。』
ツーッと一粒の涙が
頬を伝う。
親指で拭うと
その上からキミの手が
重なる。
『ずっとずっと、コウくんと
こうしてたいのに…。』
プツッと音をたててボクの
自制心は切れた。
強引に重なった唇。
我を忘れて求め合う身体。
潮風に包まれながら
繰り返す波の音が
いつまでもボクたちを
引き合わせた。