藍色の砂
『えっと……』
『河島咲妃です。』
『…ども。』
『プッ!プハハハ…!コウくんって
面白いんだね。会うたびに
“ ども ” って。』
それ以外何言えっての?
気の利いた言葉なんか
思いつかないよ。
下を向いたら、
冷たく細い指がボクの
頬に触れていて、
まるでそこだけ時が止まった
かのように体が硬直した。
『このキズ…どうしたの…?』
こんなかすりキズ……
オバチャンだって気付かなかった
のに。
『大丈夫だよ』と言ったけど
大丈夫じゃないのはボクの心臓
みたいだ。
尋常じゃないくらい高鳴ってる。
その指はサッと引いて、
ボクは胸を撫で下ろした。