藍色の砂
『だって可哀想だよ!お兄さんも
昊も。騙されてるだけじゃん…!』
『村上…!』
とっさに片方の腕を掴んで
睨みつけていた。
一瞬ひるむ村上にボクは言った。
『彼女を侮辱したら許さない。』
ごめんよ、村上。
もっともなことを言われているのは
百も承知だよ。
ボクを想って言ってくれていることも。
ただ認めたくない…。
認めたら意味をなくすモノが
周りに溢れかえっているような
気がして怖いんだ。
臆病な自分を奮い立たせるほど
自信も勇気も携わっていない。
『ごめん…。』
どちらからともなく
口をついて出た。
家の前まで送り、『じゃあ、また』
と言ってメットをかぶる。
きっと姿が見えなくなるまで、
村上は見送ってくれてたと思う。