藍色の砂
10. 狂気
梅雨の次期に入り、
大雨洪水警報が出された日。
真夜中の一本の電話。
珍しく、家の電話が鳴り響く。
しばらく鳴り響いて、
起きてきた母親が取った。
リビングの方でヒソヒソと
話し声が聞こえた後、慌てて
ボクの部屋まで入ってきた。
『昊…!陽が交通事故に遭ったって!
今、病院から…!』
取り乱す母親。
『容態は!?』
『意識不明だって…!』
急いで支度をし、
タクシーで救急センターへ
向かった。
涙ぐむ母親を落ち着かせながら
ボクは咲妃さんに連絡を
入れるかどうか迷っていた。
まさかな。
状況を見てからだって
自分を言い聞かせる。