藍色の砂
『どうせバンバン指名入れちゃったり
して?連絡先教えてってしつこく
なかった?』
『あははは……』
わかりやすい人だな。
まぁ、こんな可愛かったら
兄貴なら速攻声かけてるよな。
『日曜日試合でしょ?頑張ってね。』
『そっちも。親には軽い気持ちで
会ってやって。』
どうせ兄貴のくだらない思いつきだろ。
どちらからともなく
『じゃあ』と言って別れた。
少し歩いたところで振り返ると、
小さくなったキミは
誰かと電話で話しながら歩いてる。
細く華奢な体が
遠く小さくなっていく。
こうしてキミは
少しずつこぼしていくんだ。
ボクの心に消えないシミを。
それがどんな形に変化していくのか
なんて
この時のボクたちには
知る由もなかった───。