藍色の砂
開いた口が塞がらない、
とはこのこと。
『はい…。わかりました。
すみませんでした。』
村上に向かっても
頭を下げた咲妃さんは
最後にボクを見た。
悔しいけど、
まだキミのことが大好きな
ボクは、その視線が痛い。
『ボクは大丈夫だから。』
自然とそう言っていた。
『ホントに…ごめんなさい…』
ボクらが背を向けた後も
咲妃さんは
しばらく頭を下げていた。
『お人好し。』
村上に向かって言った。
『ホントのこと言っただけ。
別に昊のためじゃないし。』
知ってるよ。
照れるとすぐぶっきらぼうな
言い方になること。
『ありがとう…。
ちょっとスッキリした。』
真っ赤になって俯く横顔に
思わず笑みがこぼれた。