藍色の砂
『試合なら仕方ないな。頑張れよ。』
普段なら絶対言わないセリフに
何だか笑けてきた。
紹介でも何でも好きにすりゃいーよ。
どうせ長続きしないんだから。
そう思って自分の部屋に戻ろうとしたら。
『昊くんごめんね…!無理言って…。』
バチッと目が合った。
瞳の奥まで茶色く透き通っていて
吸い込まれそうなほど。
ボクは視線を外せないでいた。
かけていた眼鏡を
人差し指でクイッと上げる。
『別に』と言って立ち去った。
ちょっと素っ気なかったかな?
まぁ気にすることでもない。
しかし兄貴のヤツ、
親に紹介なんて一度もしたこと
ないのに。
どういうつもりだ?
結婚するつもりか…?
まさかな。
あんな兄貴が結婚なんてしたら
相手に同情するよ。
せいぜいもって2年だな。
離婚は目に見えてる。
何に対してもだらしない人間だから。
ボクはいつも間近で見ている。
良く言えば、良い見本なんだ。
だから兄貴のようにはならない。
そう決めてる。