藍色の砂
季節も段々と肌寒くなり、
冬を迎える。
あの夜、兄貴と帰っていく
咲妃さんを見てから
一度も連絡を交わしてない。
受験に打ち込むことで
ヤケになることで、
正気を保てたんだと思う。
心の中のモヤモヤも
時間が解決してくれた。
ボクが今、
ボクでいられるのは───
『昊、ここ間違ってる。』
『え?どこ?』
『ここ。これはね~』
きっと村上のおかげ。
随分救われた。
このままボクの中で
淡い記憶になり、
やがて小さくなって
泡のように消える。
所詮、ボクは弟だから。
逃げられない事実に
苦しむのはもうおしまいだ。