タイトル未定

僕はホッとして彩と一緒に喫茶店へ入った。

「あのね、ここのチーズケーキ、すっごく美味しいの!」

「わかったから。……で、何の報告?」

彩が帰り道に寄り道をするときは必ず報告がある。

……その報告が重大なものかどうかは差があるんだけど。

「えへへー、やっぱバレたかー。あのね、怒んないで聞いてね?」

「…怒んないから早く言って」

「今さ、叔父さん来てくれてるでしょ?だから明日から夏休みまでずーっと、旅行に行くの」

「え…夏休みまであと何日あると思ってんの?」

「えーっと…10日ぐらい?」

「……お母さんは?」

「お母さんも一緒に行くよ。お医者さんがそろそろ大丈夫だって」

「…明日、海行こうって約束したよね?」

「うん。だから謝ろうと思って」

はあーーー。

彩の報告はいつも突然だ。

せっかく明日のために水着まで用意してたのに。

まあ仕方ない。せっかく叔父さんが来てくれたんだ。

いつもどおり僕が我慢しよう。

「夏休みに行こ?ね?」

「うん、いいよ。またメールするから。」

「やったーありがと!竜也大好き!」

僕は毎回この“大好き”の言葉に照れてしまう。

彩はわざとなのか無意識なのか分からないがよくこの言葉を使う。

だから彩はおねだり上手だ。

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