タイトル未定
そして僕は夏休みまでの10日間、彩と過ごせなくなる。
―――…そして、彩にとっては僕が他人でない最後の日だった。
「りゅーうっやくーん!彩ちゃんがいなくて寂しいね~」
僕の友達が茶化してくる。
「やった!笹本君フリーじゃん!今のうちに絶対物にするっ」
「何いってんだよ!別れたわけじゃねーし」
僕のフルネーム、笹本竜也。
呼び名はさまざま。
彩は幼なじみで昔から竜也って呼んでいる。
僕には友達が多い。
男も女もいる。
だけど僕の友達は大抵、みんな彩の友達でもある。
だから僕は醜い嫉妬みたいなのをしなくてすむ。
……彩はなぜかいつも皆に嫉妬ばかりしてるけど。
「ほんっと、竜也はイケメンなのに彩一筋だよな」
「他の女に手ぇ出したくなったりしねーの?」
「昔っから『彩、彩ー』だったよな」
……うるさいなー。
友達の茶化しに少しだけイラっとする。
僕には彩しか考えられないんだ。
小学校に上がる前から彩が好きだったんだから。
「彩も竜也のこと大好きだけどねー」
「まぁ…お似合いだよね」
その一言で一気に機嫌が直る。
本当、僕って単純…。