チョコレート王子とコーヒーお姫様






私は吐息混じりのため息をつくと再び、本の文章に視線を移した。





きゃっきゃ、と騒ぐ声は別に嫌いじゃない。


だけど、その中で自分も騒ぐことの出来ない腹ただしさにイライラしてくる。





(あ~…早くチャイム鳴れ……)





私が調度そう思った時だった。






「中原、体調悪いのか?」

「えっ…?」







急に神崎君が皆を掻き分け、私の机に両手をついて聞いてきた。



びっくりした…。



挨拶だけかと思ったら、今度は私の体調まで……。




私は神崎君がなんで人気者なのか、よくわかった気がした。








「た、体調……?」

「だって、ほら眉間に皺寄ってるし……」

「皺…?」





言われた通り、眉間を指の腹で触ってみると凸凹していた。






「体調、悪くないよ…。これ、癖みたいなものだから」

「そっか。眉間に皺はあまり良くないからな」

「うん………」






それだけ言った神崎君は満足感溢れる顔で自分の席に戻ると、再び話題の中心になった。




だけど




「お前すげぇな…雪女に喋りかけれるなんて……」
「睨まれなかった?」
「ってか、なんで話しかけた訳?」








神崎が中心となったその話題は私。



当の本人がすぐ近くにいるのに、なんとも思わないのがすごい。



私は怒りを通り越して、感心してしまった。




(神崎君………なんて言うんだろ………)

























「なんで?中原、結構いい奴だぜ?」

















え?





神崎君、今なんて言ったの?
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