チョコレート王子とコーヒーお姫様
今日の授業は全て終わった。
後は早く家に帰って、本でも読もうかと思ったけど今日は図書室に行くことにした。
本を借りるためでもあるけど、目的のほとんどは暇つぶし。
「失礼します……」
図書室のドアを開けると、まず最初に聞こえたのはキャッキャと騒ぐ女子の声。
多分、2人。
笑い声でわかっちゃう。
(早く借りて帰ろ…)
私がそう思って本棚に近づいた時、急に目の前の本棚から不良女の子2人組が出てきた。
この2人組が笑っていたのか、彼女たちの目が潤んでいた。
「あれ…?お前、¨雪女¨だよなぁ?」
「………はい」
私は長身で茶髪の女の子に尋ねられ、はい、と返事してした。
だけど、彼女は『んー』と唸り声をあげて何か悩んでいた。
すると
「¨雪女¨。アンタ、眼鏡ないほうがいいよ」
長身の女の子の横にいた、もう1人の女の子。
パーマをあてた金髪で、少し化粧をした女の子。
彼女に私はそう言われた。
「え?……あれ?眼鏡が……」
眼鏡ないほうがいい、なんて言うから無意識に眼鏡を上げようとしたら…
そこには何もなかった。
私は眼鏡をかけていなかったのだ。