遊び人な彼に恋しました。


“さくら先輩の代わりになります”


そう言った平田



俺はそんな平田を利用してる


こんなに俺に尽くしてくれてるのに……


こんなに俺を見てくれているのに……



俺は……


「先輩?」


「あっ……」


「どうかしましたか?」


「いや……。平田は甘いモノとか作るの得意なのか?」


「あっ、はいっ。お母さんがお菓子教室の先生をしてるので、教えてもらってるんです」


「そっか。だからこんなに上手いんだな」



あいつとは大違い。


前にさくらがクッキーを作ってきたことがあった。



真っ黒焦げの、とてもクッキーには見えないその物体


もちろん味も破壊的だった。


勉強は出来るくせに、料理は全然ダメ。



なのに、さくらは何度も何度もクッキーを作ってきた。




そんな負けず嫌いなあいつの姿を俺は……



俺は………



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