遊び人な彼に恋しました。


「バカ。だから、帰れって言ったんだよ」



「へっ……」



「熱があるのに無理すんなよ。」



熱……



あぁ、あたし、熱があったんだ……



追いかけてきてくれたであろう、楢橋くんに抱きしめられながら、そんなことを思った



「あっ、ごめんね。あたし…「さく……ら」



楢橋くんの腕から離れようとした時に聞こえた、弱々しい声



「は……る…」



まだ拭っていない涙を流したまま、春と見つめ合った



あたしを見つめながらも、春の手は音色ちゃんの腕を握っていた……



「さく…「さくら。帰るぞ」


「えっ……」



抱きしめていた体を離して、楢橋くんが手を握った



「あ、あの…「いいから。家まで送る」



有無を言わせないように、あたしの手を引き、靴箱まで誘導する



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